単独親権者が亡くなった後に周りの大人がすること

まずは、遺言書がないか探してください。

ひとり親が亡くなったとき、周りの大人はどうすればいいでしょうか。誰かがその子を養子にしますか?子どもの気持ちもあることですし、そんな大事なことを急いで決めることはできません。

とはいえ、色んな手続きには、単なる親族ではなく「法定代理人」が必要だと言われることも出てきます。そんなときどうすればいいでしょうか。未成年後見人の指定はありますか?まずは、遺言書がないか探してください。

未成年後見人を指定した遺言書がある場合

「遺言者〇〇は、未成年者△△の後見人として、下記の者を指定する。」云々といったことが書かれた遺言書がありますか?未成年後見人を指定する遺言書があれば遺言者の死亡により直ちにその効力が発生しますので、後見人に指定された人が10日以内に未成年後見開始の届出を行えば、すぐに後見人としての仕事を開始できます。

遺言書で未成年後見人を指定していなかった場合

もし 遺言書がない場合には、遺された子に未成年後見人はいない状態となります。

また、遺言書があったが未成年後見人の指定がない場合、さらには、遺言で未成年後見人を指定してはいたが自筆証書遺言の要件が整っておらず無効だった場合なども、遺された子に未成年後見人はいない状態となります。

未成年後見人が必要な場合には、未成年後見人選任の申立てをうけて、家庭裁判所が未成年後見人を選任します。申立てができるのは、①未成年者、②未成年者の親族、③その他の利害関係人、です。

未成年後見人は、裁判所が未成年である子の利益を考慮して選任します。遺言で未成年後見人を指定する場合と違って、裁判所に未成年後見人選任の申立てをする場合は、申立人が「この人を未成年後見人にしてください」と指定することはできません。申立書には、未成年後見人の候補者を書く欄があるので、そこで申立人の希望を伝えることはできます。ただ、あくまでも裁判所が参考とするにすぎません。したがって、諸事情を総合的に考慮した結果、離婚した相手方・もう一方の親が未成年後見人になるという可能性もあります。選任には3か月程度かかるともいわれ、時間を要します。

誰かに事前に頼んでおきたいなら遺言を書くべき

あなたが単独親権者で、自分が亡くなった後の子どもの世話を誰かに頼みたいのであれば、遺言書で未成年後見人を指定しておくことを強くお勧めします。裁判所に選任してもらう方法では、申立人が「この人を未成年後見人にしてください」と指定することはできないからです。ひとり親家庭の場合、経済的に余裕がない場合もあるかと思いますが、万が一に備えてできる準備はしておいた方が安心です。