法定相続とは

じいちゃんがあぶないらしい

僕は、東京で暮らしてる28歳のサラリーマン。じいちゃんがあぶないらしいって田舎の母親から電話が入った。

母親曰く、親父が3年前に死んじゃってるから僕にも相続権があるらしくて。だから、初七日が終わったあとにちょっとした家族会議をするらしい。っていうか、初七日っていつよ?有休の申請出さないと。

えっと、じいちゃんって、たしか農家だったよね。あんまりお金持ってた印象はないけど、遺産とかあるのかなぁ?

ところで「相続」って何すんの? とりあえず、ネットで調べてみるか。えーっと、「相続とは」。ぽちぽちっと。検索結果がずらっと並んでいる。どれから見ればいいかわかんないから、とりあえずこれ。一番上の「円満相続パーフェクト」というサイトを開いてみる。

うっ。細かい字でびっしり。これだけ情報量があれば確かにパーフェクトかもしんないね。でも、専門用語っぽいのがいっぱい。5行だけがんばって読んだけど、しんどくなってきた。ちょっと僕にはムリっぽい。

「もっと分かりやすくて、一般市民に優しいサイトはないの?」 ウェブの戻るボタンを押して、検索結果一覧へ。次は二番目に一番上に出てきた「身近な法律…なんとかかんとか」というサイトを開く。

どれどれ。おっ、さっきよりは読みやすそう。

「法定相続」、「相続」の言葉の意味

日常生活では、「相続」という言葉、よく使いますよね。
でも、どういう意味か説明できますか?たとえば、「法定相続」という言葉もありますが、「相続」とどう違うのでしょうか?

民法には、一般市民の生活に関する決まりごとが定められていますが、その中に、こんな条文があります。

「相続は、死亡によって開始する。」(民法882条)
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」(民法896条本文、但し例外アリ)

条文の言葉を読むと…

う~ん、分かるような、分からないような感じですね…

「相続人」というのは、相続によって遺産を受けつぐ資格のある人のことを指します。
「被相続人」というのは、「相続される人」、つまり、亡くなった本人のことを指します(害をこうむる人=被害者、と同じ漢字の使い方ですね)。

「被相続人の財産に属した一切の権利義務」という部分は、「権利義務」の意味が難しいのですが、亡くなった人のプラス財産だけでなくマイナス財産も含めたすべての財産、という風に理解すればいいと思います。

つまり…

「相続」というのは、人が亡くなったときに、その亡くなった人のプラス財産だけでなくマイナス財産も含めたすべての財産を相続人と言われる人に引き継がせること、を意味します。

ここまでは大丈夫でしょうか?

 

相続財産の分け方、法定相続

相続は、亡くなった人の財産を相続人に分けていきます。持ち主が亡くなってしまった後で、その持ち物(財産)を分けていくのだから、財産の分け方で遺された人たちが困ったり、また分け方で不公平感が生まれてトラブルになったりするかもしれません。

こうした不都合を避けるために、民法は「色んなことを合わせ考えたら、こうするのが一番いいんでない?」という意味で基準を示してくれています。

さて、そんな民法の条文を探してみると、「法定相続分」について書かれた部分があります。
たとえば、「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。」(民法900条1項)というものです。

婚姻した夫婦に子どもが2人いて、夫が子ども2人と妻を残して亡くなってしまって、夫の財産3000万円が相続されるという場合を考えてみると…。妻は、3000万円のうち二分の一、つまり1500万円を相続し、子どもたちは2人合わせて1500万円を相続する、という具合になります。

法律には、「これこれの場合にはこんな風に分けなさいよ」という分け方が書いてあります。これを「法律の定めにしたがって相続する」という意味で「法定相続」と言います(だから、民法900条の見出しは「法定相続分」となっているんです)。

 

ここで、はたと疑問が生じます。
「法定・相続分」という言い方があるということは、「法定でない」「相続分」もあるということなのかしらん?

 

そうなんです、実は、あるんです。

みなさんよく知っている言葉で、「遺言」というのがありますよね。

 

遺言というのは、ざっくり説明すると、被相続人(亡くなった人)の生前の意思で相続させる方法を言います(「遺言相続」と言います)。だから、遺言を残すというのも、相続の方法の1つなんです。


 

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

今日は、「相続」とか「法定相続」とかの意味についてご説明しました。法定相続について民法にはたくさん条文がありますが、それぞれの意味や条文の使い方についてはこれから別の記事で説明していきたいと思います。

ややこしいことを考えると疲れますよね。今日のおやつは、あったか葛湯にします。この間、あの高級な「吉野本くず」を1kg買ったので!(たまったポイント使ったので、実際は数百円で買えました♪)

 

【まとめ】
① 相続は、ざっくりいうと、被相続人の財産全てを相続人に引き継がせること
② 法定相続は、法律の定めにしたがって相続させること
③ 相続には、法定相続と遺言相続がある